ふと思い出したある有名な話をシェアしてみようかと思います。
東北地方のある小学校で、教師が児童に、次の質問をしました
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「雪がとけたら何になる?」
ほとんどの子どもたちが「水になる」と答えたそうです。
ところが、ひとりだけ、次のように答えた子がいたそうです。
「春になる」
「雪がとけたら春になる」
この季節感あふれる答えは、豊かな感性がなくては、出せない答えだと思います。
しかし、この子に対して教師は×(バツ)をつけたのです。
つまり不正解にしてしまったというのです。
そのことで、物議をかもして、一時、新聞にも採り上げられました。
この教師に象徴される教育のやり方には「感性の崩壊」とさえ言われていました。
この話を聞いた幼稚園の先生が、園児たちに同じ質問をしてみた
「雪がとけたら何になる?」
すると、「春になる」と答えた子は一人ではなく、何人もいたそうです。
さらに、感性あふれるオリジナルな答がいくつもあったそうです。
- 「雪がとけたら、ぬかるみになる」
- 「雪がとけたら、さびしくなる」
- 「雪がとけたら、お父さんの仕事が忙しくなる」
- 「雪がとけたら、雪合戦ができなくなる」
中学校の教師が、自分のクラスの生徒に、テスト形式で同じ質問
「雪がとけたら何になる?」
その結果を見て、その教師は、ショックを受け、愕然としたそうです。
一人の例外もなく、全員が「水になる」と答えたのです。
その教師は、とてもがっかりするとともに「今の教育には大きな誤りがあるのではないか?」と思ったそうです。
モルデカイ・モーゼというユダヤ人からの謝罪
戦時中に、フランクリン・ルーズベルト大統領のブレーンとして活躍した
人で、1943年ごろから、対日戦後処理の立案に関わった人です。
彼は、戦後30年を過ぎて、「日本人に謝りたい(あるユダヤ人の懺悔)」
(日新報道 刊)という本を書きました。
その本によると、彼らは、日本の占領政策の一環として、日本の教育に
二元論を注入しました。
二元論とは、「正しいか間違っているか」「良いか悪いか」「○か×か」と
いう考え方で、「○×式思考」とも言います。
そして、これを植えつける教育を「○×式教育」と言います。
この「○×式思考」が身につくと、ものごとを2つの側面でしか捉える事
ができなくなるので、創造力や問題解決力、想像力、感性などが失われて
いきます。
そして、設定された答の中からしか、答を見つけ出せなくなってしまうの
です。
日本という国を、後々までコントロールしやすい国にしておくという視点で
見れば、日本人が○×式思考になるのは、好ましいことだったのかもしれま
せん。
実際、日本には、見事なまでに○×式教育が定着しました。
そして、モーゼ氏が、良心の呵責から、「謝らせてほしい」と懺悔の念を込め
て書いた本が、「日本人に謝りたい」だったのです。
「雪がとけたら春になる」という答に×をつけてしまう考え方こそ、○×式
思考ですね。
正解は一つしかなくて、それ以外はすべて不正解になってしまうわけです。
そして、とても怖いのは、この二元論教育を受けていくと、上記の中学生達
のように、全員が「水になる」と答えるようになってしまうことです。
日本の学校では、次のようなテストをします
![答えはひとつではないが、やることはひとつです img aea50707950abf2b31022934ec79d6c5832414 - 答えはひとつではないが、やることはひとつです](https://i0.wp.com/koichan8888.com/wp-content/uploads/2021/06/img_aea50707950abf2b31022934ec79d6c5832414.jpeg?resize=800%2C450&ssl=1)
3+7=□ (□の中を埋めなさい)
答えは、10ですね。
正解は、10しかありません。
こういうテストばかりやっていると、「答は一つしかない」という思考回路
ができてしまいます。
しかし、実際に世の中に出てみると、「答えは一つ」という考え方は通用しま
せん。
答えは一つではなく、いくとおりもある。
ここで、どのくらい融通が利く発想ができるかが、人生では大切なのですが、
「○×式教育」にまじめに取り組んできた人ほど、融通が利かない傾向にある
ようです。
実際、世の中で成功している人の中には、子ども時代はあまり勉強もせず、
悪いイタズラばかりしていたという人が、意外に多いですね。
その人たちは、「○×式思考」に陥らなかったのかもしれません。
ボクは、家庭環境がちょっと変わっていたので、小学校、中学校、高校と、ほとんど勉強をしない子どもだったので、学校の成績は、たしかに悪かったのですが、そのかわり、型破りな考え方をしたり、大人が思いつかないようなアイデアを思いついたりというのは得意でした。
実際に、プログラミングの世界に入ったのも10代ですから、当時からすれば…
もしかしたら、○×式思考の影響が少なかったのかも?と信じたいところです。
さて、イギリスなどの学校のテストは、次のようなものだそうです
□+□=10 (□の中を埋めなさい)
答えは、何パターンあるでしょうか?
1+9
2+8
-110+120
2.4+7.6
10000+(-9990)
まだまだ無限にありますね。
こういう教育を受けて育つと、“探求型”の考え方が身につき、創造力や問
題解決力が育つと言われています。
一方、正解が一つしかない「○×式教育」で育つと、「依存型の考え方」になっ
てしまいがちです。
社会人になっても、
私がやった行動は、あれでよかったのでしょうか?間違っていたのではないでしょうか?正解を教えて下さい。
という、依存型の考えになってしまいます。
自分の行動が客観的に見て、正解なのかどうかが気になり、自分が感じてい
ること(=自分の感性)に自信が持てないのです。
ちょっとした打ち合わせなどをしている際にも、ボクに次のような質問をされる
方がおられます。
・・・という状況で、私は部下に・・・と言いました。これで、よかったのでしょうか?本当は、どんな言い方をすればよかったのですか?
マジかよ…。
何か正解みたいなものがあって、それをボクから教えてくれると思っているのです。
第三者のボクにはわからない要素がいくつもあります。
- その人と、部下の人間関係の状態
- その人のキャラクター
- 部下の性格
・・・などなど。
人と人とのコミュニケーションにおいて「このように話せばうまくいく」という正解があるはずはありません。正解があるというなら、ちょっと怖いような気がしますけど…
大切なのは、自分の目的に向けて、自分の感じることを信じて行動していく
ことだと思います。
いろいろ試行錯誤をしながら、自分で答を探求していくことだと思います。
さあ、今からでも遅くはないので「○×式思考」から脱して、探求をしてみるのもいいのかもしれません。
ま、子どもを頭から怒鳴っている大人が一番「○×思考」なのかもしれませんが…
そんなお話でした。
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