絵本「大きなかぶ」の犬とねずみの喧嘩はどっちが正しい?って考えてみたら、面白いことがわかった

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まだ、熊本にいます。

IMG 8589 - 絵本「大きなかぶ」の犬とねずみの喧嘩はどっちが正しい?って考えてみたら、面白いことがわかった
八幡総本宮 宇佐神宮

昨日は、大分にいってきまして、いくつかの伝説のお話を見てきました。

問題「大きなかぶ」の犬とねずみの喧嘩はどっちが正しい?

「大きなかぶ」の話、実は最後に犬とねずみが喧嘩するって知ってました?

みなさんが知っている「大きなかぶ」は、おじいさんが育てたかぶが大きくなりすぎておじいさん一人では引っこ抜けず、犬と猫とねずみが手伝って、全員が全力で引っ張ってやっとかぶが引っこ抜ける、という話だと思います。

しかし、実は、これには続きがあるんです。

このあとおじいさんは、このかぶを市場(いちば)にもっていって、銀貨24枚で売ります。

おじいさんは、犬と猫とねずみにこう言います。

あのかぶが市場で銀貨24枚で売れたよ。わしが銀貨12枚もらうから、あとの12枚は犬と猫とねずみで山分けしていいぞ

ここで、犬とねずみの論争が始まります。

犬:「力を多く出した者が多くの報酬をもらうのが当然だ。だから、僕が銀貨6枚、猫が銀貨4枚、ねずみが銀貨2枚もらうことにしよう」

ねずみ:「いや、犬も猫も僕も、それぞれ自分の持ってる力の全力を出しきったのは同じなんだよ。それに、誰か一人欠けてもかぶは引っこ抜けなかったんだ。だから全員銀貨4枚ずつもらうのが公平だよ」

犬とねずみの論争はこの後も続きますが、猫はどっちにしても銀貨4枚もらえそうなので「早く決まってくれないかなぁ」と思いながら、いつの間にか眠ってしまいます。

ここで「大きなかぶ」は終わりです。

さて、ここで問題です。犬とねずみ、どちらの分け方が公平でしょう?

ちょっと考察してみました

犬の考え方はサラリーマンの給料のもらい方に似ています。サラリーマンは、上司と部下がいたら、上司のほう(=力が強い方)が多くお金をもらいます。

しかし、ねずみの考え方はどうでしょう?

オーケストラでは、楽器によって一曲の中で弾く量が違います。

例えば、ピアノは曲の始めから終わりまで引いていなきゃいけない。

けれど、シンバルは曲の一番最後に一回叩くだけでいい、とか。

さすがに、それはないか?

ですが、オーケストラでは、どの楽器が欠けても曲は成り立ちません。

だから、一部のトップ奏者は除きますが、基本的に演奏する量にかかわらず同じ給料をもらうそうです。

この考え方はねずみの考え方に似ているといえます。

つまり、今回の話は、サラリーマンか、オーケストラか、どちらの分け方の方が公平か?ということになります。

解答「大きなかぶ」の犬とねずみの喧嘩はどっちが正しい?

犬は、力を多く出した者が多くの報酬をもらうべきだという意見でした。

それに対して、ねずみは全員同じ枚数銀貨をもらうのが公平だという意見でした。

表にするとこんな感じですね。

ねずみ
犬の意見6枚4枚2枚
ネズミの意見4枚4枚4枚

さて、これらのどちらの分け方が公平かということですが、答えを言いましょう。

答えは…

どちらも公平でないです。

「はあ?そりゃないよ!」

こういうように画面の向こうから声が聞こえてきそうですが、引っ掛かりましたね。

世の中は理不尽。

答えは選択肢の中にあるとは限らないのです。

簡易的説明

ちょっと厳密な説明は後に置いておいて、分かりやすい説明を先にしましょう。

まず仮に、私が裁判官となって、犬の意見を採用したとしましょう。

すると、ねずみは「あんなにがんばったのに~」と、努力をしたのに評価されなかった点で不公平です。次に、ねずみの意見を採用したとすると、犬は「ねずみよりも力を出したのに~」と、実際に出した力の大きさを評価されなかった点で不公平です。

つまり、どっちをとってもどちらかが不公平になります。

…ということは、どちらも公平になる答えはこの二つの選択肢の中には含まれていないということです。

厳密な説明

もっと本質に近い説明をしましょう。

ここは、あんまり理解しなくても大丈夫です。

本質に近い説明は「そもそも、労働量とお金を交換するシステム自体が間違い」ということです。

労働量は、消費エネルギー、その人の全エネルギーに対する消費エネルギーの割合、エネルギー消費による脳へのストレス、筋肉へのストレス、消費時間…など、一つの指標ではなく、複数の指標で測られるといえます。

なのに、それをひとつのお金という次元に落とし込むのは間違いということです。

例え話で説明しましょう。

野球チームAと、サッカーチームBがあるとします。

この2チームが野球とサッカーで勝負をしました。

すると野球の時は、もちろん野球チームAが圧勝、サッカーの時はもちろんサッカーチームBが圧勝します。

もちろん野球チームAが圧勝、サッカーの時はもちろんサッカーチームBが圧勝します。

さて、僕がここで「どちらのチームの方がスポーツができますか」と聞いたら何と答えますか?

こう聞かれたら「そりゃ野球だったら野球チームAの方ができるし、サッカーだったらサッカーチームBの方ができる。

どっちか一方の方がスポーツができるなんて言うことはできないよ」って答えるしかないです。

つまり、野球のうまさ(A>B)とサッカーのうまさ(A<B)という二つの指標をスポーツのうまさという一つの次元に落としこむことはできません。

それと同じなんです。

ちなみに、労働量を消費エネルギーのみで測ると決めれば、労働量とお金の交換は可能になります。

しかし、現実にはオーケストラのような例もあるように、労働量は消費エネルギーだけで決まると考えられているわけではなさそうです。

じゃあ、どうしたら公平になるのでしょうか!?

じゃあ、どちらも公平にするためにはどうしたらいいのか、という話ですが、これは「どうしようもない」が答えです。

仮に犬とねずみの間を取った折衷案をつくろうとしても、犬はねずみより多くお金をもらう必要があり、ねずみは全員同じ金額をもらう必要があるのですから、両方を満たす折衷案を作ることはできません。

初めから決めていればよかった

もし、かぶを引っこ抜く前に「力を多く出したものが多くのお金をもらうからな」か「全員同じお金をもらおう」と決めておき「納得できないんならやらなくていいよ。別の人に代わってもらうから」としていれば、このような争いはなかったでしょう。

このように、事前にルールを決めておけば、争いは起きなかったということです。

ボクたちの世界には、法律があるので、このようなことは起こりません。

解決策

どうしようもないからこの話はこれで終わりなのかぁ、なんだかなあ、といった感じなので一応解決策をひとつ書いておきます。

それは、「じゃんけんで決める」です。

これなら結果は公平になりませんが、方法としては公平になります。

ただ、犬とねずみが「どちらの意見も正しいけど、どっちかが妥協しないとお金をあげられないよ」ってことは分かったうえで「じゃあ、ボクは~っていう分け方にしてもいいよ」っていう人が出てきたら、もっとラフに話し合いで決めてもいいです。

ボクなりに考えた解決策

これだと面白くないので、もうちょっとウィットにとんだ解決策を作ってみました。

それを話す前に、ボクが裁判官の立場に立ってこの問題を解決する、ということに触れておきましょう。

まず、裁判官は一体ここで何をすればいいか?ということを考えます。

裁判官が達成すればいいことは、犬とねずみが口論しない結論、つまり、犬とねずみが納得する(幸せになる)結論を導き出すということです。

犬とねずみは何がしたいのでしょう?

反語ではなく、疑問です。

それは、犬は銀貨6枚をもらいたいのです。

ねずみは銀貨4枚もらいたいのです。

それをすれば、犬とねずみは幸せになります。

ここから導き出せる解決策はこうなります。

裁判官が銀貨2枚出すから、犬は銀貨6枚、猫は銀貨4枚、ねずみは銀貨4枚もらうことにしよう

なんて太っ腹なんでしょうか!!

しかし、犬とねずみを幸せにするということを叶えるためには、この方法以外ありえません。

この結果、私が銀貨2枚損することになりますが、まあ、それくらいは、よしとしましょう。

上のどんぐりの解決策では「犬は銀貨6枚ほしい、ねずみは銀貨4枚ほしい」としましたが、厳密にはそうではありません。

確かに、結果だけを見るとそうですが、「なぜ6(4)枚ほしくなったか」という過程を考えると「ねずみよりも力を出したからねずみよりもお金を多くもらいたかったから」です。

もし、犬とねずみが6(4)枚欲しい理由を自分で勘違いしなかったら、「僕は銀貨が6(4)枚ほしいんじゃなくて、ねずみの3倍(犬と同じ量)お金をもらいたいんだ」と最後まで言い張るでしょう。

厳密には間違いですが、なんだかおもしろかったので載せました。

すみません。

そんなこんなで…

明日もがんばりますか。

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